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2025.12.22
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これまで と これから

なんで急にスタッフのブログが…?


きっとそう感じた読者の方も多いことでしょう。
本来であれば選手の自己紹介リレーの途中ですが、年内最後の更新ということで今年度の振り返りを担当することとなりました。


レースの結果こそがその選手の評価となるこの実業団の世界で、指導をする立場の人間が過程を語るのは無粋かもしれませんが、彼女らの努力や熱意を、数字や記号だけで表せられるはずがありません。


需要の無い私のブログを開いてくださったコアな読者の皆さまに、もっとしまむら陸上競技部を応援していただけるよう、無粋も野暮も承知で令和の筆を取らせていただきます。

申し遅れました、今回の担当は私しまむら陸上競技部コーチの石田が務めさせていただきます。
ひとつよしなに。

自己紹介を簡単にまとめました。
よほど時間がある方だけご覧ください。


◆全員で背負う覚悟


「安藤に頼らない駅伝を」

今年を振り返ると、この言葉がチームの指標になっていたと思います。

東京2025世界陸上は9月中旬。
マラソンを走った安藤がレース後の疲労を抜き、心と体を一旦フラットにする時間を考えると、クイーンズ駅伝までの準備期間はわずか1ヶ月半ほど。万全のコンディションで駅伝のスタートラインに立つことはほぼ不可能です。


だからこそ、春先のミーティングでチーム全体と共有したのが「安藤に頼らない駅伝を」という方針でした。エースにすべてを託すのではなく、誰がどの区間を任されてもシード権を獲りにいけるチームになる。その覚悟は我々スタッフから植え付けられたものではなく、選手たち自らが心に決めていました。


5月からチームはマラソン組とトラック組に分かれて練習を行いました。 柴田・立花・田中の新人3名が春先からひたむきに練習に励む姿が印象的で、6月の月間走行距離は柴田が1番多くて驚いたのを覚えています。

入社時から勢いのある鈴木と山田は、より一層競技に対して視座が高くなり、練習日誌に書かれた言葉が少しずつ変わっていくのを見て、競技者としての成長を実感しました。

山ノ内・髙橋・河辺・座間といった先輩たちも昨年以上にチームを引っ張る気概を見せてくれて、長距離区間を見据えた走り込みの中で“安藤がいなくても戦えるチーム”を現実のものにしようとしていました。



そんな中迎えた世界陸上。
結果だけを見れば、安藤にとっては決して満足のいくレースではありませんでした。
フィニッシュ直後、疲労と悔しさが入り混じった表情のまま、彼女は太田監督にこう言いました。


「この悔しさを駅伝で晴らしたいです。主要区間を走れるように、準備をさせてください。」


「安藤に頼らない駅伝を」と決めたのはエースを責める訳でも、信頼していない訳でもありません。誰か一人の肩に背負わせないための合言葉でした。
それでもなお、自分から主要区間に名乗りを上げた安藤の言葉は、チーム全員の気持ちを大きく揺さぶりました。



そこからの10月〜11月は、チーム全体の温度が一段と上がった期間でした。
疲労骨折を繰り返していた菊地や、調子の上がらなかった中馬も練習に復帰し、選手12名全員が隊列を組んで集団走を行う姿は感慨深いものがありました。

全てが順風満帆ではなくとも、苦しい練習に立ち向かい続けた選手たち。
それぞれが不安や葛藤を抱え、何かを犠牲にしてきたことも多々あったことでしょう。

それでも逃げずに積み重ねてきた日々が、“全員で背負う覚悟”をチームの当たり前にしたのだと思います。


◆目標達成にも滲む悔しさ


昨年3位となったクイーンズ駅伝。

しかしあの3位は、上手く流れに乗れたからこそ掴めたものであり、実力以上の結果だったと私たちは受け止めています。
だからこそ今年は3位以上ではなく、確実にシード権を獲ることを目標に掲げてきました。



結果は総合8位。

チーム史上初となる、2年連続でのシード権獲得となりました。
数字だけを見れば掲げた目標は無事に達成できたと言えます。それでもこの結果に満足している者はチームに一人もいませんでした。


「自分の役割を果たせなかった」
「私がもっといい位置でタスキを渡せていれば」
「あそこで、もう一歩踏ん張れていたら」


レース直後から選手たちの口から出てきたのは喜びの言葉ではなく、反省と悔しさの言葉でした。
全員が“8位以上を狙えるチーム”だと、強く信じていたのだと思います。


そして私自身も、この夏は安藤以外の選手を太田監督から任せていただいた立場として、自分の指導力不足と、この結果への責任を強く感じています。
合宿においては昨年以上に、練習の質・量ともに高いレベルでこなすことができ、“順調に進んでいる”と自分にも選手にも言い聞かせていました。しかし、その“順調”という言葉に、私自身の甘さが隠れていたのだと思います。
成長は確かに認めつつも、もう一歩踏み込んだ指導や声掛けをすべきでした。
この反省は私自身の“これから”への宿題として胸に刻んでおきたいと思います。


とはいえ、結果は結果。
この順位、この記録が、今の私たちの実力であることは紛れもない事実であり、どんな言葉を並べてもそこから逃れることはできません。

だからこそ、この8位をしっかりと受け入れたうえで、来年もう一段上の景色を見にいかなければならないと感じています。


◆これまで と これから


ここまで、数字では表しきれないしまむら陸上競技部の2025年を振り返ってきましたが、ここからは少しだけ数字で見る2025年をお伝えしたいと思います。



今シーズンのトラックレースにおける自己ベスト更新回数は25回で、12名中9名が自己ベストを更新。
昨年の14回を大きく上回る結果となりました。

なかでも更新回数が最も多かったのは鈴木山田の2名で、それぞれシーズン6回。数字の上でも、2人の勢いと安定感がはっきりと表れています



また、以下は5000mの入社前自己ベストと、入社後の伸び率をもとにした上位8名のランキングで、下線で示しているのは今シーズンに出した記録です。


田中:17分05秒59→15分47秒79   107.59% ①
立花:17分35秒56→16分27秒94   106.41% ②
座間:16分41秒15→15分57秒22   104.39% ③  *シーズンベスト15分58秒13
髙橋:16分11秒82→15分35秒69   103.72% ④
鈴木:16分13秒20→15分37秒04   103.71% ⑤
中馬:16分44秒90→16分09秒51   103.52% ⑥
柴田:16分21秒66→15分55秒04   102.71% ⑦
山田:15分50秒92→15分26秒98   102.52% ⑧

8名平均104.32%


上位8名のうち、新卒が7名、移籍が1名という顔ぶれになりました。
これを見てわかる通り、チームとしての取り組みや環境が、着実に選手たちの成長につながってきていると感じています。



とはいえ、この数字はあくまでも“これまで”の話であり、私たちが本当に勝負しなければならないのは、この先の“これから”の時間です。

来年のクイーンズ駅伝では、今年の8位という結果を「通過点だった」と胸を張って言えるようなチームになりたいと思います。
誰か一人に頼るのではなく、全員がそれぞれの区間で役割を果たし、どの区間でも勝負できるチームへ。“全員で背負う覚悟”を、さらに一段上のレベルに引き上げていくことが、これからの私たちの使命です。


そして、その挑戦は決して私たちだけのものではありません。
レース会場で声を枯らしながら応援してくださる方々、画面越しに結果を追いかけてくださる方々、日々の生活の中でふと“しまむら陸上競技部”の名前を気にかけてくださる方々。その一人ひとりの存在が選手たちの背中を押し、苦しいラスト1kmを踏ん張らせてくれています。
いつも温かいご声援を本当にありがとうございます。


これまで築いてきたものに満足することなく、この先も皆さまと一緒に新しい景色を見にいけるチームであり続けたいと思います。
どうか2026年のしまむら陸上競技部の“これから”にも、変わらぬご声援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。


スタッフの独り言に最後まで目を通していただきありがとうございます。 ここまで辿り着いてくださったあなたは、かなりのしま陸マニアです。

この先も選手とチームの活動を公式SNSにてお届けしてまいりますので、そちらも是非ご覧ください。


次回の更新は2026年、担当である太田監督にブログのタスキリレーをしたいと思います。
少し早いご挨拶となりますが、皆さまどうぞよいお年をお迎えください。


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