コーポレートガバナンス

基本的な考え方

しまむらグループは、社員、お客様、取引先、株主、社会といった様々なステークホルダーに対して公正・公平に対応することが事業の基本だと考えています。
当社を取り巻くどのステークホルダーに対しても信用・信頼を一層高めることが事業の継続発展には必要で、そのためにはコー ポレート・ガバナンスの充実が重要だと認識しています。
そのうえで、当社が築いてきた小売業界における独自の事業モデルを発展・拡大させ、経営の効率性や収益性を一層高めるため、高い業務・運営知識を備えた取締役が、法令及び定款の定めを遵守しつつ当社の財務及び事業の方針を決定し、企業価値を高め、全ての利害関係者共同の利益に貢献すべきと考えています。

コーポレートガバナンス
報告書

東京証券取引所に提出しているコーポレートガバナンス報告書を掲載しております。

PDFファイル(最終更新日:2024年 5月20日)

コーポレートガバナンスの
体制
(2024年 5月20日現在)

概要

組織形態 監査役会設置会社
取締役会議長 代表取締役 社長執行役員 鈴木 誠
取締役人数 9名(うち社外取締役3名、うち女性取締役1名)
監査役人数 4名(うち社外監査役2名)
指名・報酬委員人数 取締役5名(うち社外取締役3名、うち女性取締役1名)
経営計画策定委員人数 取締役9名(うち社外取締役3名、うち女性取締役1名)
取締役会開催 月1回以上
グループ経営会議開催(※) 週1回
監査役会開催 月1回以上
独立役員 社外取締役3名、社外監査役2名
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
  • ※経営効率と運営スピードを向上させるため、執行役員によるグループ経営会議を開催しています。

体制図

各機関について

取締役会
取締役会は、社内取締役6名(執行役員兼務5名)、社外取締役3名(独立役員)の9名で構成され、経営の的確かつ迅速な意思決定と透明性の確保を図るため、月1回以上の頻度で開催することを基本とし、2023年度は17回開催しました。

具体的な検討内容

  • 会社の方針に関する事項
    中期・長期経営計画及び年度事業計画、重要な営業方針等
  • 株主総会に関する事項
    株主総会の招集、付議事項、議題の採否等
  • 決算に関する事項
    計算書類とその付属明細の承認
  • 役員に関する事項
    代表取締役の選任・解任、取締役会規程・執行役員規程の改正、取締役・執行役員の人事等
  • 株式・社債に関する事項
    新株の発行、株式の分割、自己株式の処分・消却、中間配当の実施とその配当額の決定等
  • 人事、組織に関する事項
    重要な組織機構の制定・変更、賞罰提議の決議
  • 営業に関する事項
    年度予算案の決定、経営上重要な契約の締結等
  • 資産に関する事項
    重要な資産の取得・処分及び改修、多額な不動産の賃借等
  • 資金に関する事項
    重要な投融資(短期の資金運用を除く)、本社取引銀行・その他本社取引金融機関の決定・変更等
  • その他
    訴訟に係る事項、委員会の委員の選任・解任、委員会規程の改正、多額の寄付、その他取締役会が必要と認めた事項等
グループ経営会議
経営効率と運営スピードを向上させるため、執行役員によるグループ経営会議を月3回以上の頻度で開催することを基本とし、2023年度は48回開催しました。経営会議は代表取締役を議長とし、社内取締役及び執行役員で構成されています。

具体的な検討内容

  • 重要な事案の取締役会への付議
  • 営業方針に関する事項
    年度部署方針、重点課題等
  • 人事・組織に関する事項
    部長・室長の人事、組織図の改廃、就業規則その他重要な規程・諸制度の制定及び改廃等
  • 人事考課に関する事項
    部長・室長の人事考課の決定、賞罰提議の決議等
  • 労務政策に関する事項
    労務政策の基本方針、新学卒者の年度採用計画等
  • その他
    新規商標の申請等
  • 報告事項
    人事・組織に関する事項、営業に関する事項、資産に関する事項等
監査役会
監査役会は、社内監査役2名(常勤監査役1名)、社外監査役2名(独立役員)の4名で構成され、月1回以上の頻度で開催し、2023年度18回開催しました。

具体的な検討内容

  • 常勤監査役の選定及び解職
  • 「監査役監査規程」の策定及び見直し
  • 監査計画、監査の方法、監査業務の分担
  • 監査役の選任に関する事項
    取締役が監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することへの同意。
  • 会計監査人の選任
    株主総会に提出する会計監査人の選任・不再任・解任に関する議案の決定。
  • 取締役会が会計監査人の報酬等を定めることへの同意
  • 監査役の報酬等に関する協議
    株主総会で承認された総額の範囲内で、妥当な基準を持って協議し、決定。
  • 取締役の職務執行の妥当性
  • 事業報告及び附属明細書の適法性
  • 監査室からの内部統制報告
    内部監査部門である監査室から報告される内部統制の状況。
指名・報酬委員会(取締役会の諮問機関としての任意の委員会)
指名・報酬委員会は、取締役会の決議によって選定された委員(代表取締役1名、取締役1名、社外取締役3名の計5名)で構成され、役員の指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性の強化のため、年2回以上開催することを基本とし、2023年度は4回開催しました。

具体的な検討内容

  • 役員の指名等に関する事項
    執行役員人事案、後継者育成計画案等
  • 役員の報酬等に関する事項
    執行役員の評価案、執行役員・取締役の報酬案等
経営計画策定委員会(取締役会の諮問機関としての任意の委員会)
経営計画策定委員会は、取締役会の決議によって選定された委員(取締役全員の計9名)で構成され、中長期経営計画及び年度経営計画の策定に関する議論の活性化と、その手続きの妥当性・透明性・客観性の強化のため、年2回以上開催することを基本とし、2023年度は6回開催しました。

具体的な検討内容

  • 中長期経営計画に関する事項
    中期経営計画2027案、中期人材戦略2027案等
  • 年度経営計画に関する事項
    年度方針案、業績予測の修正要否等

2023年度 会議出席率

役職名 氏名 取締役会
(17回開催)
監査役会
(18回開催)
指名・報酬委員会
(4回開催)
経営計画策定委員会
(6回開催)
経営会議
(48回開催)
出席回数 出席率 出席回数 出席率 出席回数 出席率 出席回数 出席率 出席回数 出席率
代表取締役
社長執行役員
鈴木 誠 17 100.0 4 100.0 6 100.0 47 97.9
取締役
上席執行役員
高橋 維一郎 17 100.0 6 100.0 48 100.0
取締役
執行役員
中平 貴士 17 100.0 6 100.0 48 100.0
取締役
執行役員
辻口 芳輝
※1
13 100.0 5 100.0 48 100.0
取締役
執行役員
上田 肇 
※1
13 100.0 5 100.0 48 100.0
取締役相談役 藤原 秀次郎 16 94.1 4 100.0 5 83.3 42 87.5
取締役(社外) 松井 珠江 17 100.0 4 100.0 6 100.0
取締役(社外) 鈴木 豊 17 100.0 4 100.0 6 100.0
取締役(社外) 室久保 貞一 17 100.0 4 100.0 6 100.0
常勤監査役 吉岡 秀行 
※4
17 100.0 18 100.0 48 100.0
監査役 島村 裕之 17 100.0 18 100.0 46 95.8
監査役(社外) 堀之北 重久 16 94.1 17 94.4
監査役(社外) 大参 哲也 
※4
17 100.0 18 100.0
上席執行役員 昆野 一夫 48 100.0
上席執行役員 佐藤 政明 
※3
46 95.8
執行役員 関 信太郎 46 95.8
執行役員 中村 武 46 95.8
執行役員 齋藤 剛樹 
※1
4 100.0 1 100.0 46 95.8
執行役員 星野 起明 48 100.0
執行役員 近藤 英行 
※2
48 100.0

※  2023年度(2023年2月21日~2024年2月20日)までの出席率を記載しています。
※1 辻口 芳輝、上田 肇は、2023年5月12日付けで取締役に就任したため、就任後の出席回数による出席状況を記載しております。
   また、齋藤 剛樹は、2023年5月12日付けで退任したため、退任前の出席回数による出席状況を記載しております。
※2 近藤 英行は、2024年2月20日付けで執行役員を退任しております。
※3 佐藤 政明は、2024年5月16日付けで上席執行役員を辞任しております。
※4 吉岡 秀行は常勤監査役を、大参 哲也は監査役を、2024年5月17日付けで退任しております。

内部統制システムの整備

当社は、ステークホルダーにとって、誠実でいい会社であると同時に、会社法と金融商品取引法で定める内部統制システムを整備し、継続的に改善する組織体制を維持するため、「内部統制の規程」を定めています。

業務の適正性の確保(会社法)
当社は、役員・社員の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制を構築し運用しています。

内部統制システムに関する基本方針 PDFファイル

財務報告の信頼性の確保(金融商品取引法)
当社は、財務報告が法令等に従って適正に行われるための体制を構築し運用しています。

内部統制の詳細を見る

役員の指名基準

取締役候補者の指名基準

当社の取締役候補者は、以下の基準を充足する者であって、取締役会のメンバーとして、経営理念の実現に貢献することができる知識・能力・経験を有していると考えられる者の中から、指名・報酬委員会で審議したうえで、取締役会の決議により指名します。
なお、社外取締役の候補者については、会社法に定める社外取締役の要件を満たす者であって、下記 4 .に代えて、下記 5. の基準を充足する者の中から 3名以上を指名します。

  1. 取締役としての職務を遂行するうえで必要な強い意思と高い能力を有していること。
  2. 当社の取締役としてふさわしい人格及び識見を有していること。
  3. 当社の取締役に求められる役割・職責を適切に果たすうえで必要な時間・労力を確保できること。
  4. 当社グループの事業及び経営環境の深い理解に基づき、当社の経営戦略の策定及び実行に貢献できる知識・能力及び幅広い経験を有していること。
  5. 企業経営、学術、財務会計、法律その他の分野における高い専門的知見または豊富な経験を有し、独立した客観的な観点からの職務の遂行が期待できると認められること。
監査役候補者の指名基準

当社の監査役候補者は、以下の基準を充足する者であって、監査役としての職務の遂行を通じて、当社経営理念の実現に貢献することができると考えられる者の中から、監査役会の同意を得たうえで、取締役会の決議により指名します。
なお、社外監査役の候補者については、会社法に定める社外監査役の要件を満たす者で あって、下記 4. に代えて、下記 5. の基準を充足する者の中から半数以上を指名します。

  1. 監査役としての職務を遂行するうえで必要な強い意思と高い能力を有していること。
  2. 当社の監査役としてふさわしい人格及び識見を有していること。
  3. 当社の監査役に求められる役割・職責を適切に果たすうえで必要な時間・労力を確保できること。
  4. 当社グループの事業及び経営環境の深い理解に基づき、当社における監査役監査に貢献できる知識・能力・経験を有していること。
  5. 企業経営、学術、財務会計、法律その他の分野における高い専門的知見または豊富な経験を有していること。
社外取締役及び社外監査役の指名基準
  1. 独立性

    当社は、次のいずれの事項にも該当しない者について、独立性が認められる者と判断します。

    1. 1) 現在または過去10年間において、当社またはその子会社の業務執行者となったことがある者(会社法施行規則第2条 第3項 第6号に定める業務執行者。以下本基準において同じ)。
    2. 2) 当社を主要な取引先とする者またはその業務執行者。(注)
    3. 3) 当社の主要な取引先またはその業務執行者。(注)
    4. 4) 当社から役員報酬以外に、その者の直近事業年度において 1,000 万円以上の金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家(金銭その他の財産を得ている者が法人、団体である場合は、当該団体の売上高または総収入の 2%を超える金額を当社から得ている団体に所属する者)。
    5. 5) 過去 3年間において上記2)から4)に該当していた者。
    6. 6) 当社の議決権の10%以上を実質的に保有する者またはその業務執行者。
    7. 7) 上記 1)から 6)までに掲げる者の配偶者及び二親等以内の親族。

    (注)「主要な取引先」とは、直近事業年度の取引額が、当社または当該取引先の年間売上高の2%以上を占める者。

  2. 在任期間
    1. 1) 社外取締役の在任期間の上限について、10年を基本とします。
    2. 2) 社外監査役の在任期間の上限について、2期8年を基本とします。

取締役会に期待するスキル

氏名 企業経営 商品
マーケティング
DX・IT 財務・会計 法務
コンプライアンス
リスク管理
組織・人材 ESG
鈴木 誠
高橋 維一郎
中平 貴士
辻口 芳輝
上田 肇
藤原 秀次郎
松井 珠江
鈴木 豊
室久保 貞一

社外役員の状況
(2024年 5月20日現在)

役職名 氏名 役割 主な経歴
取締役 松井 珠江 小売業の人事政策、福利厚生ならびに社会・環境サステナビリティ分野で長きにわたり活躍された経験と見識を有しており、社外の独立した視点からその経験に基づく助言・提言をいただいております。
指名・報酬委員会、経営計画策定委員会の構成員です。
㈱西友
執行役SVP
取締役 鈴木 豊 企業経営者として豊富な経験と深い見識を有しており、当社の経営に対し社外の独立した視点から有益な助言・提言をいただいております。
指名・報酬委員会、経営計画策定委員会の構成員です。
キユーピー㈱
代表取締役社長
取締役 室久保 貞一 金融機関での長きにわたる経験に基づく財務・会計に関する深い知識に加え、埼玉経済同友会 専務理事等を歴任され、企業経営に関して深い知見を有しており、社外の独立した視点からその経験に基づく助言・提言をいただいております。
指名・報酬委員会、経営計画策定委員会の構成員です。
㈱埼玉りそな銀行
支店長・部長職を歴任
埼玉経済同友会
専務理事
監査役 堀之北 重久 公認会計士としての企業財務に精通しており、当社の監査体制の強化に対し社外の独立した視点からその経験と見識に基づく助言・提言をいただいております。 有限責任あずさ監査法人
代表社員
監査役 高月 禎一 他企業での経理・会計等に関する業務経験や取締役監査等委員としての経験と高い見識を有しており、 取締役会の意思決定の妥当性、適正性を確保するための助言をいただけると判断し、選任しております。 ㈱ワールド
取締役(監査等委員)
  • ※社外役員5名全員を、独立役員として東京証券取引所に届け出ています。

社外取締役メッセージ

  • 松井 珠江

    社外取締役松井 珠江

    社外取締役としてどのような役割を果たしていますか。
    しまむらは家族的な社風、仕事への向き合い方も真摯で、社員の愛社精神も高く、「良い会社」であることは特筆すべきことと思っています。また衣料品を中心とした事業を地道に突き詰めながら、さらに進化するための努力を惜しまない経営で、長く成長を続けて来たことにも感嘆しています。しかし世界情勢含め何が起こってもおかしくない不安定な状況下となり、溢れる情報の中、真実を見極め、危機感をもって経営にあたらなければ現状すら守れる保証もない時代となりました。
    今こそ社外・社内関係なく、役員一丸となって経営を守り、更なる成長を目指すことが必須だと強く認識しています。迅速な決断と冷静な判断力を磨き、勇気をもって改革を実行することが必要な時だと気を引き締めております。取締役会の闊達な議論など、その充実はもちろんですが、今まで以上に広い視野を持って経営をリードする経営者の育成が必須だと思っています。当事者意識と覚悟を持って、役割を果たしていきたいと決意しております。
    2022年度取締役会実効性評価に対して、2023年度での取締役会の審議はいかがだったでしょうか。
    昨年に比較して改善されつつあると思います。さらに今も改善の努力が見られます。ただ、基本的、本質的な議論が充分出来ていないことに懸念を持っています。
    素晴らしい企業風土も時代の変化と共に、守り続けなければならないこと、変革すべきことがあります。
    コーポレートガバナンス・コード等、あらたに企業の在り方に求められているものが大きく変化してきています。そのまま、しまむらに取り入れることが良いことなのか、しまむらがさらに成長していけることなのか?
    新しいしまむらが進化していくために、先ずはその本質的な問題を議論する必要があるように思います。コーポレートガバナンス・コードが出来たか出来ないかはその議論無くしてはあまり意味がないように思います。
    当社の女性活躍推進でご自身が注力したいと考えていることをお聞かせください。
    女性の活躍推進を本気で考え、具体的な計画も出来てきており、かなり改善したと思っています。しかし、教育や登用を行えば女性の活躍推進が出来るか、成功するのかというと、そんなに簡単なものではないことを経験から学んでいます。
    ようやく女性の活躍の機会を増やそうという気運が高まり、当社ももちろん真剣に取り組んでもらっています。しかし定着させるためには制度やメンター、周囲の協力など、形式的ではなく、魂の入ったフォロー体制を整えることが大切です。そして男性の意識だけではなく、女性自身の意識の変革も必要です。登用されても、力を発揮できなくては本人にも周囲にも、もちろん会社にとっても不幸です。力を発揮できる育成と、失敗を恐れずに実践することが必要です。
    様々な課題はありながらも、有能な女性達がその能力を活かせないのは、本人はもちろん企業にとっても大きな損失です。私の一番のテーマでもあり、しまむらの有能な女性達のためにも、成功に導くために、可能なすべてのことを出しきる覚悟です。
  • 鈴木 豊

    社外取締役鈴木 豊

    社外取締役としてどのような役割を果たしていますか。
    持続的にお客様からの支持を得られ、社員の成長と幸福を実現できる経営を推し進めることを意識しています。しまむらグループが持続的に健全に発展していくには、一緒に携わる社員の知恵を活かし、お客様に喜ばれる商品やサービスをいくつ提供できるかがポイントです。そして、その知恵を生み出す「汗」が成長の基となり、その成果が大切な私たちのお客様を創っていくことになります。会社とは、お客様に支持される事業があってこそで、私達の使命は期待され信頼される会社にするための人創り、組織創り、やりがい創りに精進していくことだと考えています。
    2022年度取締役会実効性評価に対して、2023年度での取締役会の審議はいかがだったでしょうか。
    前中期の中期経営計画「リ・ボーン」は数字ありきの立案ではなく、スタート時点で今までのやり方の変えるべきところは変えるという意気込みをもって計画が策定されました。そのことが全員総意の意気込みを生み、日を追うごとに自信となり、課題解決に向き合っていく行動様式を身につけていったと思います。取締役会での報告においても概ね目標、結果、問題点、対策という論点でなされるようになり、やるべき事とやる意思の両方が醸成していったように思います。
    中期経営計画2027について評価をお聞かせください。
    前中期では、中期経営計画「リ・ボーン」に基づいて健闘してきたことが成果となりましたが、今中期は、まさに「ネクスト・チャレンジ」の名前通り次期中期へ向けての地盤作りの中期にしなければなりません。すなわち、将来のための成長戦略の手応えを感じ取れるような仕組み創りが肝要です。その大きな課題としては、海外戦略の展開、新規事業への挑戦、EC事業の拡大、人材育成のための教育投資などがあり、これらをいかに実装できるかが重要テーマだと思います。次代のためにもお客様から期待され、支持され続ける"しまむら"らしい成長に向かって慎重かつ確実に取り組んでいく必要があります。
  • 室久保 貞一

    社外取締役室久保 貞一

    社外取締役としてどのような役割を果たしていますか。
    私に期待されるスキルは、企業経営、財務・会計、法務・コンプライアンス・リスク管理、組織・人材、ESGの各分野です。金融機関に30年、経済団体に15年勤めて得た知識や経験、人的ネットワークを活かし、都度アドバイスと提言をしています。昨年度は特にリスク管理の体制整備やESG活動の推進について、諸々意見を述べてまいりました。
    引き続き業務執行より独立した立場から経営の監督、しまむらの持続的成長と企業価値の向上に貢献できるよう努めます。しまむらのコーポレートガバナンスの基本はステークホルダーに公平・公正に対応することであり、今後も皆様とのコミュニケーションを大切にしてまいります。
    2022年度取締役会実効性評価に対して、2023年度での取締役会の審議はいかがだったでしょうか。
    議論不足と指摘された諸課題は、中期経営計画2027の策定審議を通じて活発な議論が進みましたが、未だ十分ではありません。リスク管理についてはリスクを目標達成の阻害要因として、各部署が中期経営計画2027の重点課題に位置づけ、リスクの未然防止と低減に取り組む体制を整えました。一方、成長戦略や人材戦略についてはその方針や施策に関する議論が不足しています。変化が激しい時代の中では事業戦略の見直しを迫られる局面が増えることが予想されます。取締役会の実効性評価にはPDCAサイクルを回し続けることが不可欠と認識しており、引き続き取締役会の役割・機能向上に繋がる十分な議論を進めてまいりたいと思います。
    中期経営計画2027について評価をお聞かせください。
    前中期経営計画の「リ・ボーン」を完成させ、次なる成長への土台を築き上げられた社員の皆様の努力と創意工夫に敬意を表します。次期中期経営計画2027に引き継いだ課題のうち、資本政策の改善についてはROE 8.0%程度(株主資本コストを上回る水準)、配当性向35.0%程度、DOE 3.0%程度、手元流動性比率4~6ヵ月程度などのKPI設定と経営資源配分の明確化によって、安定した財務基盤のもとでの規模拡大に向けた成長投資、配当性向見直しによる株主還元の充実にポジティブなスタンスが見て取れます。今後も投資家の皆様との積極的な対話を通じて、適正な資本収益性を実現するための取り組みを継続してまいりたいと思います。

役員報酬

役員報酬の基本方針
  1. 業績および中長期的な企業価値との連動を重視した報酬とし、株主と価値を共有するものとする。
  2. 役員の役割および職責に相応しい水準とする。
  3. 社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会の審議を経ることで、公正性・透明性・客観性を確保する。
役員報酬体系と報酬決定手続き
役員報酬は、固定報酬である基本報酬、短期インセンティブ報酬としての賞与(執行役員)、中長期インセンティブ報酬としての株式報酬(執行役員)の 3つにより構成されます。
取締役の報酬
基本報酬のみとし、株主総会で承認された総額の範囲内で、妥当な基準を社長が起案し、指名・報酬委員会の審議を経て、取締役会で決定します。
※取締役の報酬限度額は年額4億円(2015年5月14日開催 第62期定時株主総会決議)です。
監査役の報酬
基本報酬のみとし、株主総会で承認された総額の範囲内で、妥当な基準をもって監査役の協議により決定します。
※監査役の報酬限度額は年額94百万円(2008年5月16日開催 第55期定時株主総会決議)です。
執行役員の報酬
基本報酬のほかに、事業年度ごとの会社業績に基づく業績連動賞与及び譲渡制限付株式報酬(2021年度より導入)で構成されており、その支給総額及び個人別支給額については、執行役員規程に沿って社長が起案し、指名・報酬委員会の審議を経て、取締役会で決定します。
基本報酬である月額報酬は、前年度の執行役員の業績評価をもとに原則として毎年 4月に改訂しています。
譲渡制限付株式報酬は、執行役員が当社株式を所有することにより、執行役員の報酬と株式価値との連動制を明確にし、株主の皆様と一層の価値共有を進めることで、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的としています。
なお、当社の取締役は執行役員兼務を基本としています。
報酬構成の割合
基本報酬(固定) インセンティブ報酬
賞与 株式報酬
執行役員兼務の取締役 82% 11% 7%
社外取締役/取締役相談役 100%
執行役員 80% 12% 8%
自社株式保有のガイドライン
当社は、役員(取締役・執行役員・監査役)を対象とした「自社株式保有のガイドライン」を定めており、取得や売却に制限を設けています。

取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の実効性の評価について、年に1回、取締役と監査役を対象にアンケート方式による調査を実施しております。
調査の分析結果は、取締役会事務局より取締役会へ報告し、課題とその対応について審議したうえで、必要な改善に取り組むことで、取締役会の実効性向上に努めております。

[実施内容]
評価対象:
2022年度(2022年3月~2023年3月)に開催の取締役会(計17回)
評価者 :
取締役8名、監査役4名(計12名)
実施期間:
2023年3月
[評価プロセス]
  1. 社長と取締役会事務局(企画室)が、取締役会の実効性に関するアンケートを作成
    (アンケート大項目)
    1. 1) 取締役会の構成
    2. 2) 取締役会の運営
    3. 3) 取締役会の議題
    4. 4) 取締役会を支える体制
  2. 取締役(8名)と監査役(4名)よりアンケートを回収
  3. 取締役会事務局による調査結果の集計・分析と取締役会への報告
  4. 取締役会での審議
[実効性向上に向けた施策]
課題1.
成長戦略の深掘りと具現化の議論が不足している。
▼【対応】
経営計画策定委員会および取締役会で新規事業開発、投資計画、資本政策について審議し、中期経営計画2027を策定しました。
課題2.
人材戦略についての議論が不足している。
▼【対応】
中期経営計画2027の策定に合わせて、中期人材戦略2027を策定し、基本方針や各部署の人材方針を定めました。また、指名・報酬委員会および取締役会で社長の後継者育成計画について審議しました。
課題3.
リスク管理についての議論が不足している。
▼【対応】
中期経営計画2027の策定に合わせて、昨年策定したリスク管理規程の大幅な見直しを行いました。
リスクを再度洗い出し、分類・分析を行い、優先順位を付けて取組みについて審議しました。

政策保有株式
(2024年 2月20日現在)

当社は、持続的な成長に向けて、企業提携、重要な取引先との取引関係の構築・維持その他事業の必要性がある場合は、取締役会の判断において政策保有株式を保有しております。
個別の政策保有株式について、その保有目的の合理性及び経済的な合理性を取締役会において毎年確認しており、その内容は、保有目的、取引状況、直近の業績、今後の取引の見通しの確認、保有目的がなくなった場合の売却検討です。

銘柄数 貸借対照表計上額
上場株式 4銘柄 697百万円
非上場株式 なし -